現在のChatGPTにはPDFファイルやWordファイルをアップロードすることができます。
そこでここでは、私が50年前に書いた佐野正博(1983)「物理学における主観と客観の問題」『看護研究』Vol.16 No.3、pp.7-13という論文を英訳させてみた結果を紹介します。
その一覧のやりとりは、下記で見ることができますが、ここでは簡単にその概要を紹介します。
https://chatgpt.com/share/c4ae131b-5b06-46d4-b66a-3f84e0d972c7
PDFファイルをアップロードし、「添付ファイルで私の論文を送ります。英語に翻訳してください。」というプロンプト文を与えた結果は、「ファイルが長いため、内容が一部省略されていますが、提供された内容に基づいて論文の英訳を進めます。まず、主要な見出しと一部の内容を英訳します。」という回答がまずは返ってきました。
これは、「テキスト生成AIにおける最小処理単位「トークン」ーなぜ日本語文よりも英語文の方がより詳細な回答となるのか?」で紹介したように、WEB経由での対話的やりとりでは、1回のプロンプトで与えることができる情報量だけでなく、1回の回答で返される情報量にもかなりの制限があるためです。
そのため、今回のように長文のPDFファイルに対する回答は、上述のhttps://chatgpt.com/share/c4ae131b-5b06-46d4-b66a-3f84e0d972c7に示したように、「第1ページ目を英語に翻訳してください。」、「第2ページ目を英語に翻訳してください。」、「第3ページ目を英語に翻訳してください。」・・・というように、逐次的にプロンプトを与えることで処理をしました。
なお今回の論文程度の分量であれば。「生成を続ける」というボタンを何度か押す必要がありますが、「英訳の全文を表示してください。」というプロンプト文を与えることで英訳文全体を取得することができます。
その結果は、下記に示した通りです。
現行の生成AIでは、プロンプト文で意図した通りの結果が生成されるとは限りませんし、思わぬ間違いが含まれることもあります。それゆえ実務における利用に際しては、回答結果に関する念入りなチェックが事前に必要です。
(例えば、上記の英訳作業においても、第1節の前の冒頭の4つの文章は最初は英訳されていませんでしたので、追加で英訳の指示をおこなっています。)
その英訳内容についての詳しい検討結果は、次稿の「AIで日本語の学術論文を英訳するー自分の日本語論文を翻訳させてみる(ChatGPT編その2)」で紹介します。