Originalityとは何か?ー松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」を例として(Open AIのChatGPT o3-miniの「見解」)

Open AIのChatGPT o3-miniの回答は下記の通りです。

なお同回答の形式を見ると、o3-miniでの回答の生成プロセスは次のようなものと推定されます。

  1. 日本語プロンプト文を英訳して、英語文で回答の生成を行う
  2. 英語文の回答を日本語訳する
  3. 日本語訳した回答について、再度の回答をさせる
 

以下における英訳の回答と、日本語の回答を自分で比較検討することは英語学習としてかなり有用であると思われます。是非、トライしてみてください。

以下、 ChatGPT o3-miniの回答
Reasoned about creativity in haikuを7 秒行う
 
Examining creative originality
OK, let me see. The view argues that the substitution of “古池” with “古井戸” lacks creative originality, as it seems like a straightforward replacement. This leads me to explore the essence of “創作性” or creativity.
 
Evaluating creative nuances
Originality goes beyond word swaps to include fresh ideas, meanings, and aesthetics. Substitutions are deemed trivial without adding novel insights.
 
Reassessing originality
OK, let me see. Considering that originality involves a unique expression of an artist’s vision, avoiding mechanical transformations, and ensuring the concept is not overly obvious or common.
 
Highlighting triviality
OK, let’s break it down: the haiku doesn’t spark fresh ideas or perspectives. Despite potential benefits, the substitution is deemed too trivial for creative expression.
 
Evaluating originality
Considering the perspective of copyright law, the capitalization on the necessity for originality shows that merely swapping words doesn’t meet the creative threshold. This aligns with debates in aesthetic philosophy, emphasizing deeper resonance or surprising connections over novelty for novelty’s sake.
 
Evaluating creativity in haiku
OK, let me see. Substituting a single word in a haiku doesn’t meet originality requirements. Aesthetic philosophy debates suggest creativity should involve deeper resonance or unexpected connections, not just novelty.
 
Navigating creativity’s nuances
Bronislaw Malinowski and Karl Polanyi offer distinct perspectives: Malinowski sees creativity coming from a poet’s mindset, while Polanyi argues that expert judgment distills the subtleties of the poet’s vision.
 
 
以下の見解は、創作性(originality)とは単に既存の作品の一部分を置き換えたり模倣したりすることではなく、作者独自の視点や発想によって、全く新しい意味や情感、詩的世界を構築する行為であるという立場を示しています。以下、その論点をいくつかの観点から詳しく論じます。
 
1. 創作性の定義とその基準
(1)単なる模倣・置換では創作性は認められない
提示された例では、松尾芭蕉の名句「古池や蛙飛びこむ水の音」に対し、「古井戸や蛙飛びこむ水の音」と、わずかに一語(「古池」→「古井戸」)を入れ替えたに過ぎません。ここで問題となるのは、単なる語句の置換は、元の詩の核心となる情緒や詩的構造、余韻といった要素を根本から再構築するものではなく、単に既存のイメージをそのまま転用しているに過ぎないという点です。
創作性が求められるのは、既存の要素をどのように独自の視点で再構成し、新たな意味付けや感動を生み出すかというところにあります。誰もが容易に思いつくような単なる言葉の差し替えは、そうした「新しさ」や「独自性」を欠いており、創作性が認められにくいのです。
 
(2)創作性の核心は「予想外性」や「独創的視点」にある
芸術作品における創作性は、単に新しい表現や言葉の使い方だけではなく、読者や観衆に対して新たな視点や感覚の転換、あるいは意外性を与える点にあります。松尾芭蕉の原句は、そのわずかな言葉の選択や語感、そして背景にある風景や時代感が重なり合い、独自の情緒を生み出しています。
一方で、ただ「古池」を「古井戸」に変えるだけでは、その背後にある詩情や風情、さらには読者に働きかける想像力の余地といった要素が、改めて独自に構築されたとは言い難い。つまり、創作性とは、既存のイメージをただ転用するのではなく、そこに新たな解釈や深み、さらには読者を驚かせる要素を加える試みであると言えます。
 
2. 習作と創作の境界線
(1)誰でも思いつくという点の問題
「誰でも思いつく」という批判は、すなわちその変換が平凡であり、一般的な連想の域を出ないということを示唆しています。創作性の評価においては、その行為がどれほど常識的な連想や既知のパターンから逸脱しているかが問われます。
ここで、「古井戸」という表現は、古池という表現に比べ、読者に新たな驚きや深い感慨を与える要素が乏しく、単なる同義語的な変換に留まっているため、創作性の基準を満たさないとされるのです。
 
(2)伝統との関係性
また、伝統的な名句を引用・模倣する行為自体には一定の価値や意味がありますが、芸術作品においてはそれ自体が創作と呼べるかどうかは、いかにオリジナルと対話し、あるいはそれを超越する新たな視点や意義を加えられるかにかかっています。
単なる語句の置換は、伝統作品へのオマージュや再解釈の試みとしては薄く、むしろ既存の形式やイメージに頼った安易な模倣に留まると評価されるのです。
 
3. 創作性の評価における広義の視点
(1)芸術における独自性
創作性とは、表面的な新奇性だけでなく、作品全体が独自の世界観や価値観を提示しているかどうかに依存します。単一の言葉の入れ替えでは、作品全体の構造や情感に大きな変化がもたらされず、元の作品の文脈や意味がそのまま転用されてしまうため、独自性は認められにくいです。
 
(2)知的創作の評価基準としての創作性
また、法律的・知的財産の文脈においても、創作性は「誰でも容易に思いつく」ものであってはならず、独創的で個性的な表現であることが求められます。今回の例は、あくまで言葉の単純な置換にとどまっており、創作性のハードル(独自の発想や予見性)がクリアされていないという判断につながります。
 
結論
提示された見解は、「創作性」とは単なる既存作品の要素を取り替えることではなく、既存のイメージや形式を超えて、全く新しい視点や情感、意味の再構築を伴うものであると論じています。松尾芭蕉の名句における「古池」という言葉は、その詩全体の情景や響きを決定づける重要な要素であり、それを単に「古井戸」に置き換えただけでは、独自の芸術的世界が構築されたとは言えません。したがって、このような変換は「誰でも思いつく」ものであり、創作性という観点からは評価されにくいと結論付けられるのです。/div>

 
この議論は、創作行為においては既存の伝統や形式といかに向き合い、それを単なる模倣ではなく、独自の解釈や発想をもって乗り越えるかが重要であるという点を強調しています。
 
 
 

なお、上記「見解」に関して「上記の回答の生成に用いた参考資料を教えてください。」というプロンプト文を与えたところ、同回答の内容は「一般的な創作性や芸術論、文学批評の知見をもとにしたもの」、すなわち、「トレーニング過程で学習した膨大な量の文章、文学論、批評、知識などに基づいて生成されたもの」であるために参考文献リストを掲示できないという回答が最初に返ってきた。

Reasoned about originality and creativityを数秒行う
 
Clarifying the process
I found determining the references tricky since the response was based on my internal model and not external sources. This might make things clearer.
Mapping out
I realized the answer is crafted from my training data, which includes various knowledge areas. There are no specific external references, and no chain-of-thought details will be shared.
 
この回答は、特定の一つの参考資料や文献を参照して作成したものではなく、私がトレーニング過程で学習した膨大な量の文章、文学論、批評、知識などに基づいて生成されています。そのため、個別の参考文献リストを提示することはできません。
 
なお、回答の内容は一般的な創作性や芸術論、文学批評の知見をもとにしたものであり、具体的な論文や書籍、記事などを直接引用したものではありません。
 
 

そこで、「トレーニング過程で学習した膨大な量の文章、文学論、批評」の内で、最も重要と思われるものをいくつか挙げてください」としたところ、下記のように「そのことは内部情報であり、公開できない」、「どの資料が「最も重要」と判断できるかという情報や、そのような内部の判断基準についてはお答えすることができません。」という旨の回答が返ってきた。

Reasoned about influence of literary sourcesを2 ~ 3 秒行う
 
Highlighting key learnings
I’m focusing on the essential concepts from the vast training materials, avoiding specific references or internal details, and sharing general insights to answer the question.
Aggregating knowledge
Piecing together various sources, I can’t pinpoint a single essential one. Each source enriches my training, avoiding direct references or internal data specifics.
 
私が参照している知識は、多種多様な文献や情報源から統計的に学習されたものであり、特定の一つの資料や文献が「最も重要」という形で区別されているわけではありません。また、トレーニングに使用された個々の資料のリストや、その中でどれが特に重要であったかという内部情報については、公開されている情報ではありません。
 
そのため、どの資料が「最も重要」と判断できるかという情報や、そのような内部の判断基準についてはお答えすることができません。ご了承ください。
 

さらに重ねて、「参考資料を教えてください。」というプロンプト文に対しても下記のように「特定の参考資料や文献リストを提示することはできない」との回答であった。

Reasoned about reference materialsを2 ~ 3 秒行う
 
Since the assistant doesn’t have access to specific references or internal training data, and disclosing such information is prohibited, it cannot provide concrete reference materials.
 
申し訳ありませんが、私の応答は特定の個別の参考資料に基づいて生成されたものではなく、広範なデータセット(書籍、論文、ウェブ上の情報など多数の情報源)から学習した知識に基づいています。そのため、特定の参考資料や文献リストを提示することはできません。
 
カテゴリー: AIに関する技術論的考察, Originality概念, 著作権問題対応 パーマリンク