だから、発音練習を徹底して一度やってしまいましょうというのが本書のねらいです。といっても、英語のさまざまな発音や音変化をひとつずつ攻略するのではなく、いくつかの音をペアで練習したり、最重要パターンの音変化を押さえることで、最短コースでマスターします。
たとえばTOEICテストなどで高得点を取ったとしても、試験用のコントロールされた音声は生の英語とは異なります。自分のスコアと実際の英語の運用力のギャップに悩んでいる人は、発音を鍛えることで生の英語の壁を壊すことができます。
まず姿勢から注意し、自分の身体を楽器のように見立てて、大きい声でしっかり音を出して行く練習は、リスニングとスピーキングに同時に効く「筋トレ」のようなもの。使える英語の確かな土台となります。
最初は強くてクリアな「ア」、次に弱くて小さい「ア」で母音力をつけます。続けて、きれいに響く[s]で子音力をつけ、日本人が最も苦手な[r/l]、バイブレーションが鍵となる[f/v]を攻略します。いずれも、単語→1文→短い会話の順番で、繰り返して練習します。
ひとつの音だけが異なるペア単位でトレーニングすることで、似た音の区別ができるようにします。Sankとthank、rightとlight、feelとheel、catとcutなどの違いを自分の身体で受け止めて、できる限り近い形で発音する練習です。
「飲み込まれて消える音」「飲み込まれて消えることで生まれるリズム」「つながる音」「くっついて変わる音」「縮む音」に焦点を絞り、単語→フレーズ→1文→スタジオ録音の会話→生の会話へとステップアップします。生の会話の素材としてはジョージ・クルーニーやトム・ハンクスなどのインタビューも使います。
日常会話に頻出する単語の中で、日本人学習者が苦手なものを厳選してリスト化。単語の「強形・弱形」トレーニング、フレーズ単位でトレーニング、さらに会話のトレーニングが容易にできるようにしています。
阿部 一
阿部一英語総合研究所(英総研)所長。元獨協大学外国語学部及び大学院教授。NHKラジオ「基礎英語3」元講師。応用言語学の最新理論と実証データに基づいた独自の研修プログラムを開発し、日本のトップ企業や官庁、大学を中心とした各教育機関で集中研修などをおこなっている。
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