英訳・解説: ロジャー・パルバース
A5判書籍190ページ
定価1,980円(税込)
2023年5月刊
ロジャー・パルバースは1967年に初来日して宮沢賢治作品を読み始め、1970年に『銀河鉄道の夜』の初翻訳を終えてから、4回のリライトを繰り返してきました。宮沢賢治の叙情的で独特な文体、ユニークなオノマトペの数々はどのような英文になっているのでしょうか。
本書は左ページに英文、右ページに原文と語注を配置し、原文では改行がない箇所にも英文については適宜改行を加えて読みやすくしています。主語と述語がはっきりしている英語は、ときに原文よりわかりやすかったりするかもしれません。
「そしてほんとうに、風のように走れたのです。息も切れず膝もあつくなりませんでした。」
They found themselves running just like the wind without skipping a single breath or getting hot sore knees.
「そっちを見ますと、青白く光る銀河の岸に、銀いろの空のすすきが、もうまるでいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波を立てているのでした。」
When the two of them looked they saw the pale bank of the Milky Way glittering with pampas grass growing all along it, rustling and swishing, rolling in the wind into billows of waves in a silver sky.
24歳で亡くなった最愛の妹、トシが遠くへ行ってしまう旅に同行する銀河鉄道の物語。原文と英文の両方でじっくり味わうことができます。
【本書の構成】
『銀河鉄道の夜』
Night on the Milky Way Train
読む前に—宮沢賢治–21世紀宇宙の旅
気がつくと、列車に乗って銀河を旅するジョバンニと親友のカンパネルラ。その不思議な旅と出会いは何のメタファーなのか。
本編
『インドラの網』
Indra’s Net
読む前に—天の空間を感じとる
宇宙のあらゆるものを繋いでいるという「インドラの網」。その向こうに広がる空間と光景を想像しながら、この美しい小品を味わってみよう。
本編
『マグノリアの木』
The Magnolia Tree
読む前に—春の道場
他者を感じ、思考や感情を共有することで「他者」になる。私たちは感覚や意識によって他者と繋がっているという賢治の世界観が色濃く出ている一遍。
本編
『春と修羅』序
Preface to Spring and Ashura
読む前に—光の記録係
詩集『春と修羅』の副題は「心象スケッチ」。賢治はなぜ自らの詩を「心象スケッチ」と呼んだのだろうか。
本編
■本書の原作は『宮沢賢治全集』(ちくま文庫)を底本とし、新仮名遣いに変更するとともに一部の漢字を改めています。韻文である「『春と修羅』序」は底本のまま旧仮名遣いで掲載しています。
●本書ご購入者は、音声付き電子版を無料で利用できます。
●音声はスマホでも聞けるストリーミング再生と、パソコンへのmp3音声ダウンロードも使えます。
ロジャー・パルバース
作家、劇作家、演出家、翻訳家、映画監督、東京工業大学名誉教授。
1944年ニューヨーク生まれ。ハーバード大学大学院卒業。ベトナム戦争への反発からアメリカを離れ、1967年に初来日し、京都産業大学、東京工業大学で教鞭をとる。映画『戦場のメリークリスマス』で大島渚の助監督を務めた。
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