ブックタイトルザッカーバーグ_試し読み222

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概要

ザッカーバーグ_試し読み222

7い。ジョブズ氏はアップルの製品が隅々まで磨きぬかれた美しさを醸し出しているように、スタンフォード大学でのスピーチも14 分の凝縮されたメッセージが聴き手の心を打った。このスピーチをどのように準備したかに関するエピソードはアイザックソンによる伝記に示されている。ジョブズ氏はアップル新製品発表会での自分のプレゼンのように早くから十分に時間をかけて完璧な準備をするつもりで、専門のスピーチライターに原稿を依頼した。しかし春になっても原稿が届かず焦りを覚え、結局、妻と一緒に自宅の暖炉の前で会話をしながら構想をまとめていったということである。自ら紡ぎだした言葉が結果的にあのスピーチの親しみをも感じさせる語りにつながったと考えられる。 こういった聴衆と会話をするかのようなスピーチの語りは実は非常に難しい。スピーチのスタイルは大きく、Impromptu、Manuscript、Memorized、Extemporaneous の4 つに分けられる。通常の親しい人との会話などは原稿を書いて練習することはないため、即興でまとめて話すImpromptu Style となる。Manuscript Style は十分に練り上げられた原稿を読むことで発表するスタイルで、間違えずに読む限りは大きな失敗はない代わりに聴衆とのアイコンタクトが不十分になることが多い。完全に原稿を覚えて発表するMemorized Speech は、スピーチコンテストで発表されるスピーチがそうであるし、また俳優が舞台で自分のセリフを台本から覚えて完全に自分のものにして演じることも広義ではこのスタイルと言える。最後のExtemporaneous という語は辞書によっては「即席の、即興の」という定義が示されており誤解を招きかねないが、内容を十分に理解した上で目の前の聴衆の理解度や反応に合わせて話していくスタイルで、人前で話すことを職業とする人に多く見られる自然で柔軟性のあるスタイルである。 卒業式のスピーチという失敗や間違いの許されない重要なスピーチでは、原稿は十分に練り上げられていることを前提とすれば、関心はその原稿をどのように聴衆に対して発表するか、ということになる。ここでひとつ興味深いのはプロンプターを使用するかどうかだ。プロンプターは演台の両側に立てられた透明なパネルで黒い背景に白抜きの文字でスピーチの原稿を映し出す。これを使えば、ずっと顔を上げたままあたかも聴衆の方を向いて話しているように見えるというもので、最近は安倍首相も重要な会見などで用いている。一方、プロンプターに頼り過ぎると不自然な目線となることも