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58ではないか。個人的には、言語の美とか、アートの部分、あるいは言語というものの力に対する気づきなどは、高校の後半とか大学でよいと思う。 そもそもグローバル化に対応した英語教育改革実施計画というのは、実....
58ではないか。個人的には、言語の美とか、アートの部分、あるいは言語というものの力に対する気づきなどは、高校の後半とか大学でよいと思う。 そもそもグローバル化に対応した英語教育改革実施計画というのは、実践をするための土俵を用意したもので、これはすごくいいことだと思います。しかし、問題は「英語を学習する」というスタンスが強すぎることです。強調すべきは「表現者の視点」、英語を表現する、使う、つまり学習者から表現者に視点を移すことが必要。そこが徹底していないから、英語を知識として学んでしまう。「自分の中に英語力を構築する」というスタンスが重要で、小学校のときから素地として固めていかなければならない。そのためには、実践的に英語を使う場を用意しなければだめだと思います。そして、「いつか、どこかで、だれかと」ではなく、「今、ここ、わたし」という視点が大事。この視点がないと、知識として英語を学んでしまう。それでは、単に英語の単語や文法などの知識であって英語力にはならない可能性がある。英語力とは簡単に言えば、自在に表現することができる力のことなので、そこを鍛えていくことを生徒も先生も自覚しなければならない。 文科省の実施計画は、英語力を鍛える実践を存分にやりなさいとエールを送っているように思います。だから問題は、どうすればそれを達成できるのかということ。教科書の中の英語ではなく、生きた英語を身につけようということ。この点に反論する人はいないと思う。吉田:今、田中さんがおっしゃった言語の抽象的な力とか言語の美と言われるようなものは、最終的に気づくところであって、最初からあるものではない。だからそれを教えたってしょうがないんだよね。目標として最後にそこに到達したらすばらしいね、ってみんな言えるんだけど、最初からこのような言語力が抜けてますって言われたってしょうがないんだよね。田中茂範(たなか しげのり)(慶應義塾大学環境情報学部教授)コロンビア大学大学院博士課程修了。NHK 教育テレビで「新感覚☆キーワードで英会話」(2006 年)、「新感覚☆わかる使える英文法」(2007 年)の講師を務める。また、ベネッセの小学生向け英語学習教材のBE-GO の監修、『E ゲイト英和辞典』(ベネッセ)代表編者。JICA で海外派遣される専門家に対しての英語研修のアドバイザーを長年担当する。主な著書:『コトバの意味づけ論?日常言語の生の営み』(共著/ 紀伊國屋書店)、『チャンク英文法』(共著)、『そうだったのか★英文法』、『英語のパワー基本語[ 基本動詞編]』、『英語のパワー基本語[前置詞/句動詞編]』、『これなら話せる★チャンク英会話』、『表現英文法』(いずれもコスモピア)など。