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15柴田先生は、長年、駐在員としてヨーロッパにおられた経験をお持ちですが……。柴田:私は現在目白大学で英語を教えていますが、その前は28年間、銀行で半沢直樹のような世界に生きてきました(笑い)。28年間の中....
15柴田先生は、長年、駐在員としてヨーロッパにおられた経験をお持ちですが……。柴田:私は現在目白大学で英語を教えていますが、その前は28年間、銀行で半沢直樹のような世界に生きてきました(笑い)。28年間の中で3分の2くらいを海外で過ごしました。デュッセルドルフとフランクフルト、合わせてドイツに5年、続いて、ロンドンに15年、合計20年、ヨーロッパで仕事をしました。ドイツでは社内用語もドイツ語でしたが、東欧に出張するときは、相手次第でドイツ語か英語を使っていました。ロンドンは当然のことながら英語の世界です。日系企業の出先とはいえ現地法人だったので、ローカル化がかなり進んでいました。社長はイギリス人、その次は部長クラスでほとんどイギリス人です。日本絡みの担当のみが日本人、といった環境ですね。20カ国以上の国籍の人が切磋琢磨する職場でした。赴任した当初は、イギリス人はもちろんのこと、英語を母語としない、いわゆるノンネイティブの話し続けるパワーには圧倒されました。ミーティングでも反論されると切り返しが思うようにいかず、そんな中で、どのような英語をどのように話していけばいいのか、どうやって自己主張を展開していったらいいのか、といったことを日々考えながらやっていました。求められるのは、突き詰めると「英語でコミュニケートする」ということだと思うんです。コミュニケートするということはスキルなんで、場数を踏んでいくことで何とかなっていく。しかし、英語の部分は、「習うより慣れろ」とはいっても、自然体で身についていくものではなく、意識的に覚えていかなければならない、というのが自分の問題意識でした。そのなかのひとつは、業界独特の専門用語です。金融経済の世界でいえば、「金融緩和」や「国債の格付け変更」「貿易収支」を英語で何というか、といったことを想像されるかと思います。確かに、そうした専門用語は知らなければどうにもなりません。しかし、仕事のうえで見落とされがちなのは、動詞や形容詞を絡めたフレーズです。例えば、The news is discounted in the market. とはどういう意味か。discount は「割り引く」ですから、「市場はそのニュースを織り込み済みである」と柴田真一(しばた しんいち)目白大学外国語学部英米語学科教授、学科長。ロンドン大学大学院経営学修士(MBA)。みずほフィナンシャルグループ勤務を経て、2012 年大学教員となる。銀行員としてロンドン15 年、ドイツ5 年の駐在を経験。ロンドン駐在中に執筆・講演活動をはじめ、『週刊東洋経済』に金融経済英語の連載を執筆(計134 回)。専門は国際ビジネスコミュニケーション。神田外語キャリアカレッジ顧問として企業のグローバル人材育成にもかかわる。日本金融学会、国際ビジネスコミュニケーション学会会員。今年4 月からNHK ラジオ『入門ビジネス英語講座』の講師をつとめる。著書:『ダボス会議に学ぶ 世界経済がわかるリーダーの英語』『英米リーダーの英語(共著)』(コスモピア)、『金融英語入門(第2 版)』『金融中国語入門(共著)』(東洋経済新報社)など多数。