ブックタイトル英語で語ろう!私たちの昭和、平成そして令和_試し読み

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概要

英語で語ろう!私たちの昭和、平成そして令和_試し読み

61や「秩序」を意味し/「吉兆の」や「良い」を意味することもある/和はしばしば「調和」を意味し/「平和」を指す日本語にも使われる) 令和の意味は他の海外メディアでも同様に訳されており、「令」はcommands(命令)やorder(秩序)といった意味を持つと同時に、auspicious(吉兆の)や他にもfortune(幸運な)といった意味を持つなどという説明がされています。auspiciousはあまり目にしない語ですが、ラテン語で「鳥が飛んでいるのを見て受ける予兆」を表し、「吉兆の」「幸先(縁起)のよい」といった意味になります。語根のauspic- は「鳥」を表すau- の部分と「見る」を表すspec[spic]- が合わさってできており、avian(鳥の)やaviation(飛行・航空)と語源的に関連しています。spec- は例えばinspect だと「中を見る」ことから「検査する」「視察する」となるなど様々に用いられます。 「和」はharmony(調和)やpeace(平和)を表すと説明されており、「令」を前者の意味でとらえると、「秩序と平和」となることから、国書を典拠としたことと合わせて、安倍政権の国粋主義的傾向への偏りを示唆するとの懸念が示されたりもしています。外務省はこうした海外の報道を受けて、誤解を避けるため、対外的な説明にあたっては、「beautiful harmony(美しい調和)」と説明を統一する旨を在外公館に示したようです。 『BBC News』の記事では、これまでの元号についても意味を説明しており、「明治」はenlightened rule(明るい治世)、「大正」はgreat righteousness(大きな正義)、「昭和」はenlightened harmony(照らされた調和)、「平成」はachieving peace(平和の成就)と英語で説明されています。ちなみに昭は照の原字で、enlighten はlight(明かり)に動詞を作る接尾辞のen- と、同様に動詞化する接尾辞の-en の付いた語で、暗さを取り除き「啓蒙する」といった意味を持ちます。righteousness はright(正しい)に、古英語のwise(やり方・作法)の付いたrightwise が変化して、righteous(道理のある・公正な・正義の)となり、さらに名詞化する接尾辞の-ness が付いた語で、道義的な「正しさ」を意味します。 平成は日本の近代史上で戦争がなかった初めての時代でしたが、令和の「令」が後者のauspicious の意味を持ち、よい調和をもたらす時代になるとよいと強く願います。(この記事は、『多聴多読マガジン』(小社刊)2019 年6 月号の連載記事「語源今昔物語」を追加修正して転載したものです)令和元年スタート