ブックタイトル多聴多読マガジン Vol.73_2019年04月号試読

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多聴多読マガジン Vol.73_2019年04月号試読

12 2019 APRIL時間をかけて読むときに犠牲になるのは、考えるのに使う言葉と読書体験の量と質です。時間をかけることで読む量が減ると、当然、その分だけふれる言葉と体験の量も減ってしまうことは自明でしょう。そこで、ここでは思考言語と読書体験の質の変化について考えてみましょう。①日本語で考えながら読むことになる私たちは読書を楽しむとき、和文小説なら日本語で、英文小説なら英語で考えます。そのとき、あえて「時間をかけて読む」ということはしません。時間をかけて読むのは、専門書や契約書など、内容を細部まで深く正確に理解する必要があるときです。抽象的で複雑な概念を扱うので、日本語での思考を迫られるのです(英語で考えることができる人にはこのp.12-15 の記事は不要です)。つまり、普段は和文小説を読むときに時間をかけない人が、英文小説を読むときに限って「時間をかけて読んでいる」場合、その人は英文を和訳し、内容について日本語で考えなければ物語を追えなくなっている可能性が高いと思われます。それでは、英語を英語のまま読めているとは言えません。②臨場感が失われるそれでも、あえて時間をかけて読むとどうなるでしょう? 落語や漫才で、演者のセリフの間に空白時間を加え、上演時間を3 倍に伸ばした場合を想像してください。空白時間に「いまのセリフの時代背景は……」などの解説が入ってもよいでしょう。演者のリズム、笑いのタイミングは失われ、臨場感も損なわれます。同様に、ゆっくり読むと臨場感のある読書の楽しみは損なわれてしまうのです。日本語で考えながら、ゆっくりと臨場感のない物語を読んでいくのは、結文・西澤一(豊田高専教授)時間をかけて読むのはなぜダメか?Introduction時間をかけて読むときに失われるもの和訳しながら読んでいると、長時間続けて読めない?「時間をかければ、英語は読めます」という学習者の方も多いかもしれません。しかし、それでは英語を英語のまま読む、英語多読にはなかなか結びつきません。ここでは英語読書と読書速度の関係を考察します。