ブックタイトル多聴多読マガジン Vol.71_2018年12月号 試読

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多聴多読マガジン Vol.71_2018年12月号 試読

 2018年8月4日、『エルマー』の原作者であるガネットさんを招いて、パネルディスカッション(共催・人形劇団プーク、紀伊國屋書店)が開催されました。 パネルディスカッションは2部構成。第1 部では、人形劇団プークで『エルマー』の劇を演出した柴崎喜彦氏、翻訳家で『「エルマーのぼうけん」をかいた女性ルース・S・ガネット』(福音館)を執筆した前沢明枝氏、3 部作を翻訳した渡辺茂男の長男で自身も翻訳家である渡辺鉄太氏、埼玉県三芳町立図書館館長で長年『エルマー』の読み聞かせを行っている代田知子氏が、それぞれ『エルマー』やガネットさんにまつわるエピソードを披露しました。 第2 部では、いよいよガネットさんが登壇。来場者からの質問に、丁寧に答えられていました。 「このように世代や国を超えて愛される作品になると最初からわかっていましたか?」という質問にガネットさんは、「もちろん、そんな風になるなんて思ってもいませんでした。やることがなかったから、自分のことを楽しませるために書いたんです」と答えていました。『エルマー』は、ガネットさんが22 歳の頃、スキー場の山小屋でアルバイトをしていたときに書いた作品です。その年の冬は雪があまり降らずに、偶然にも(そして幸運にも)執筆する時間が生まれたのだそうです。 ガネットさんの娘のカーンさんは、「私の母はいろんな点で主人公のエルマーみたいです」とおっしゃっていました。ガネットさんは身の回りの持ち物を使い、問題を解決するのが得意だそうです。それはまるで、リュックの中にあれこれ色んな道具を入れて、冒険の旅に出かけた男の子エルマーのようです。カーンさんは「エルマーのように、人に優しく、勇気をもって自分でいろんなことを考えられる人になってほしい」と、来場者にメッセージを贈りました。 最後に、8 月に95 歳の誕生日を迎えられるガネットさんに来場者全員がハッピーバースデーの歌を歌って祝福。和やかな雰囲気のままイベントは幕を閉じました。児童書『エルマーのぼうけん』(以下、『エルマー』)は、翻訳書が長年日本で親しまれているほか、読みやすい英語多読の本としても人気があります。2018 年は、アメリカで出版されてから70 年。それに合わせて、8 月、原作者のガネットさんがアメリカより来日し、東京・新宿の紀伊國屋ホールで開催されたパネルディスカッションに登壇しました。「エルマーのぼうけん」原作者登壇パネルディスカッション・レポートルース・S・ガネットさん 構成・編集部ルース・S・ガネット(Ruth Stailes Gannett)1923 年ニューヨーク市生まれ。1944年バッサー・カレッジを卒業。化学者として働いたのち、児童図書協議会の職員となる。7 人の娘を育てる傍ら、数作の児童書を著した。【特別記事】自分を楽しませるために書いた作品エルマーのように問題を解決ガネットさんと娘のカーンさん(左)、通訳を担当した岩渕デボラさん(撮影・鬼丸晴美)