ブックタイトル多聴多読マガジン Vol.61 2017年04月号試読

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多聴多読マガジン Vol.61 2017年04月号試読

2017 APRIL 125リスニング、シャドーイングのためのなま素材【訳】チャップリン:申し訳ないが、私は皇帝になりたくはありません。それは私とは関わりのないことです。私は誰も支配したり、征服したりしたくありません。できることなら、あらゆる人の役に立ちたいのです。ユダヤ人、非ユダヤ人、黒人、白人たちの。私たちはみなお互いに助け合いたいのです。人間とはそういうものです。私たちはお互いの苦難ではなく、お互いの幸福を生きがいにして暮らしていきたい。お互いに憎しみ合ったり軽蔑し合ったりしたくはないのです。この世界には誰のためにも居場所があり、大地は豊かで、誰のためにも生きていく糧を与えてくれます。人の生き方は自由で美しくありうるのですしかし、私たちはその生き方を見失ってしまいました。欲が人間の心に毒を盛り、世界を敵意の壁で囲い込み、不幸と流血の中へと私たちを駆り立ててしまったのです。私たちはスピードというものを発展させましたが、自分たちだけの世界に閉じこもってしまいました。機械が十分すぎるものを作り出しても、私たちの物欲はそのままです。知識は私たちをシニカルにし、小利口さは私たちを頑なで不寛容にしてしまいました。私たちは考えることばかりで、感じることが少な過ぎます。私たちには機械よりも人間愛が必要なのです。小利口さよりも思いやりと優しさが必要なのです。こうした資質なしには、世の中は暴力的になり、すべてが失われてしまうでしょう。●英語の特徴 録り直しが可能という点では、通常のスピーチとは少し異なったスピーチ素材です。納得がいくまで何度でも作品中のシーンを録り直したことでチャップリンは有名ですし、『独裁者』は彼の作品初の完全なトーキー映画ですから、このクライマックスのシーンはよほど入念に撮影されたと考えられます。Section 1 でのおずおずした一人語りのような口調からSection 3 での激しい情熱的な話し方に至るまでのリズムやポーズの取り方、イントネーションの変化には音楽的なセンスが感じられます。日本語訳:山口西夏? ポーズ短いフレーズをつむぐイメージでスピーチ全体を構成しています。特に前半は1-2 秒おきにポーズを置き、すべて下降調で発音しています。? 拍のリズムパラグラフの後半、We havedeveloped speed からwe needhumanity. までの5 文は、区切りから区切りまでのフレーズがすべて2 拍ずつ(2 拍子)となり、心地よいリズムを醸し出しています。? 音のくり返しMore than... で始まる2 文は、出だしで同じ2 語をくり返すだけでなく、1 文目は、4 音節のうちの2 音節目に強勢があり、/i/ の発音で終わるmachinery とhumanity を対として区切りの直前においています。2 文目は-ness で終わる語を3 回くり返し、リズムを作り出しています。語注business: 関わるべき事柄/ conquer: 征服する/ Gentile: 非ユダヤ人(教徒)/ live by... : ~を信条にして人生を送る/misery: 窮状/ despise: 見下す/ the good earth: 大地 [ 同名のパール・S・バックの小説から] / greed: 欲望/ goose-step: 脚をまっすぐ高く上げて行進する/ bloodshed:流血(の惨事)/ shut oneself in... :…に閉じこもる/ abundance: あり余るほどの数量/ want:欲求、欲望/ quality: 資質チャールズ・チャップリン Sir Charles Spencer“ Charlie” Chaplinイギリス出身の映画俳優、映画監督、コメディアン。1889 ~ 1977 年。左利き。代表作に『ライムライト』、『モダン・タイムス』、『街の灯』など。ここで取り上げた『独裁者』(1940)では、独裁者・ヒンケル総統に間違われてしまったユダヤ人の床屋を熱演している。ここに注目!Copyright c Roy Export S.A.S. All rights reserved.