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1011を       聞かせよう?幼児期からできる音のインプット?音たぷりつ外山節子(敬和学園大学客員教授)津田塾大学オープンスクール小学校英語指導力向上セミナー講師、にいがた小学校英語教育研究会(PENの会)....

1011を       聞かせよう?幼児期からできる音のインプット?音たぷりつ外山節子(敬和学園大学客員教授)津田塾大学オープンスクール小学校英語指導力向上セミナー講師、にいがた小学校英語教育研究会(PENの会)顧問。著書にEnglish Timeシリーズ(共著、オックスフォード大学出版局)、『和英じてん』、『英和じてん』(監修、ピエ・ブックス)、『音のある英語絵本ガイド』(監修・著、コスモピア)、「はらぺこあおむしABC &123カード」(監修、交通新聞社)他。絵本の読み聞かせ ? 英語が好き、そして、自ら学ぶ子どもを育てるためにThe Very Hungry Caterpillar邦題 『はらぺこあおむし』(偕成社)作:Eric Carle出版社:Penguin Group 子どもがどのように英語を習得するかについては、数多くの理論が発表されています。本稿では、学術的な解説ではなく、私個人の英語絵本との関わりをお話しして、皆さまが英語絵本の読み聞かせを始められる、または続けられる参考になればと思います。父が読み聞かせてくれた英語絵本 英語の絵本を子どもに読み聞かせることについて考えると、幼児の私を膝に乗せて英語を聞かせてくれた父を思い出します。その頃、英語の絵本は本屋さんにはなかったのですが、輸出入の仕事をしていた父は、アメリカからいろいろなものを送ってもらっていて、その中に英語の絵本があったのだと思います。身長180センチ近い大柄な父の膝は大きく温かかったこと、子猫が細密に描かれていたこと、迷子の子猫が絵本の最後で母猫と再会すると嬉しくて安心してゆっくり眠りについたことを、何十年(!)も経た今も鮮明に覚えています。父の帰りが遅い夜は、誰かが替わりに読めるように、父が日本語訳を書き入れていました。それが鉛筆で書かれていたことも覚えています。 そのときどんな英語を耳にしたかは、記憶に残っていません。言語はスパイラル学習といって、何度も間隔を置いてインプットされないと定着しませんから、英語絵本を寝る前に読むという親子の習慣が途切れたので、音声が残らなかったのだと思います。では、父の読み聞かせは私にどんな影響を与えたのでしょう。私は、英語で書かれたものに強い興味を持つようになりました。父がごろんと寝ころんでペーパーバックを読んでいるのを見て、大人になったらあんなふうに英語の本を読みたいと思いました。学校から帰ると、父が好きなNat King Coleのレコードをかけ、歌詞を「見つめ」ました。家にはアメリカのショッピングカタログ、料理の本等々、さまざまな英語のものがあったので、わからなくてもそれを見ていました。父の取引先のアメリカ人がピクチャーディクショナリーをおみやげにくださいました。アルファベット順に単語が並んでいて、最初は絵を見て単語を教えてもらったのですが、だんだんその単語が絵の下に印刷されている英語と関係があることを理解していったように思います。 自分の子どもにも、同様の体験をさせたいと思いました。大きい書店の英語教材の棚の隅にThe Very Hungry Caterpillarがあり、毎晩この絵本を子どもに読みました。高校生になった長女は、私の英語教室の子どもたちの文集に先輩として一文を寄せました。子どもの頃を振り返って「自分がどうして英語がわかるようになったのかわからない。青い『もや』の中を歩いているような感じで、いつのまにか、Yesは『はい』とわかった」と書きました。絵本を一緒に読むときの言葉のやりとりから覚えていったのでしょう。3歳下の長男は、子どものとき英語絵本を読んでもらった記憶はまったくないと言います(がっかり)。彼は「アンパンマン」が大好きで、出かけるとき1冊持っていけばどんなところでも静かにできました。「アンパンマン」を読んでいるとき何か配達があって玄関に行き、しばらくして戻ると、長男が拾い読みをしていました。「あんぱ んまん と たこや きまん やな せたか しさく」。絵本1冊全部音として覚えていたので、ひらがなを指さしながら、切れ切れに読んでいたのです。たくさん聞かせて読みに導く 日本語の仮名は1文字1音ですから、こうなればどんどん自分で読むようになります。英語は、1文字が表す音は複数ありますから、そこに気づかせないとなりません。英語を母語として育つ人は、アルファベットが表す音を習います。aは[a]、bは[b]、cは[k]のように。フォニックスですね。フォニックスを知っていれば、知らない単語を読むこともでき、言える単語を書くこともできます。英語絵本を読んであげるとき、文字を指さして、文字の形と同時にその文字が表す音に気づかせるのもよいことです。フォネミック・アウァネス*を養うのです。 現在、私は大学で児童英語教育を教えています。私の講義では、フォニックス指導法を教え、英語絵本を子どもに読んでやることを想定して読むというトレーニングをします。学生の英語力は、このトレーニングで大きく伸びます。このとき、音源つきの英語絵本を使います。思い込みで間違った発音をしていることもありますから、音源のmodel readingを聞き込み、シャドーイングをして練習するのです。お子さんに英語の絵本を読んであげるのにためらっている方は、音源つきの絵本で練習しましょう。自信を持って読むと、よい声がでますよ。 読者の皆さんは、お子さんに本を読んであげていらっしゃるでしょう。その延長で、英語の絵本をレパートリーに加えてみませんか。子どもが成長したときに拠り所になる、温かい記憶を作り、好きなことを自ら学ぶ子どもを育てることができます。良質の英語をたくさん聞くことは子どもの英語習得の第一歩なのです。  次ページから、年齢別の具体例をご紹介いたします。敬和学園大学での「児童英語教育実践」の授業の様子。授業では数多くの絵本を取り上げる。Part 1音をたっぷり聞かせよう*フォネミック・アウェアネスについてはp.24「ナーサリーライムで音と文字に親しむ」参照。