ブックタイトル起業家の英語　試読

概要

起業家の英語　試読

97スピーチの特徴起業家の特徴　この音声は1982 年、ジョブズが27 歳のときにAcademy of Achievement で録音されたものです。ですから、若者が話すような、比較的くだけたスタイルと発音で話しています。ジョブズはその人生の中で、さまざまなプレゼンテーションを行い、「プレゼンの名手」として知られていますが、40 代後半から56歳で亡くなるまでのプレゼンやスピーチと、今回のスピーチを比べると、発話の仕方、特に発音が異なることに気づきます。動画サイトなどで、ジョブズの晩年のプレゼンやスピーチを聞くことができますので、聞き比べてみると、新しい発見があるでしょう。また、内容の点でも相違が見られます。それは、晩年は非常に端的にしっかりとした構成の下に話が展開されているのですが、このプレゼンは会話スタイルのカジュアルな感じになっています。しかし、変わらないのは、少し皮肉めいたことを言って、笑いを誘っている点です。これが、ジョブズならではのスピーチスタイルと言えるでしょう。スティーブ・ジョブズCo-founder,Apple Computer　アメリカの起業家。アップル社の共同設立者のひとり。カルフォルニア州ロス・アルトス生まれ。1984 年、Macintosh を発売し、爆発的なヒットを記録。1985 年、アップル社を退社。その後、ルーカスフィルムのコンピューター・アニメーション部門を買収し、ピクサー・アニメーション・スタジオを設立。映画『トイ・ストーリー』で成功を収める。1996 年、経営不振にあえいでいたアップル社に復帰し、業績を回復。2000 年代に入ると、iPod、iTunes、iPhone、iPadなどの新製品を次々と開発。またポッドキャスティングやマルチタッチを導入し、数々のイノベーションを成し遂げた。2011 年10 月5 日に56 歳で死去。　スティーブ・ジョブズは、イノベーターとして、消費者自身が「欲しい」とは考えてもいなかった、それまでになかったまったく新しい製品を開発することに注力した。そのため、ジョブズは市場調査を重視しなかった。市場調査のことを聞かれて、「いや、欲しいモノを見せてあげなければ、みんな、それが欲しいかなんてわからないんだ」とか、「アレクサンダー・グラハム・ベルが電話を発明したとき、市場調査をしたと思うかい？」などと、述べている。　ジョブズは市場調査で明らかにされる顧客ニーズではなく、人と違う独特の発想によって世界を変革することを重視した。またそうしたことをアップルの従業員にも求めた。ジョブズがアップルに復帰してすぐに展開した「Think different」広告キャンペーンは、ユーザーだけでなく、従業員に向けたメッセージでもあった。ジョブズは「われわれのヒーローはイノべーターだ。われわれが背負って立つのはイノベーションだ。世界を変えることを願う、イノべーターだけが、アップルで働くことを許1984 年ごろのスティーブ・ジョされるのだ」と述べている。ブズphoto:Landov ／アフロ