ブックタイトルロアルド・ダールが英語で楽しく読める本 試し読み

概要

ロアルド・ダールが英語で楽しく読める本 試し読み

7　本章は、作品別に次の6 つの章で構成されています。　作品が生まれた背景やテーマ、物語の概要などがまとめられています。実際に作品を読んでいくとき、物語への理解がより深まるはずです。　執筆を担当されたのは、以下の方々です。第1章～ 第6章?????????????????????????????????????????????????? 第1 章いわばわくわくさせる「魔法の国」でした。　第一志望のシェル石油に就職し、上司からエジプトへ行くように言われた時、ダールは「埃っぽいから」というとんでもない理由で断るのですが、じつは同じアフリカでも、ゾウやキリンがいてジャングルのあるところへ行きたかったからでした。幸運にも、次に命じられたのが希望の場所だったので、ダールは大喜びで旅立ちます。ダールが体験したわくわくするけれどスリルがいっぱいのアフリカについては、Boy の続編ともいえるGoing Solo（1986）に詳しく書かれています。「がっついた」ワニの残忍な計画　主役の途方もなく大きなワニ（Enormous Crocodile）は、ひどくお腹を空かせていて、人間の子どもを食べたいと思っています。ダールは、Dirty Beasts（1983）というおふざけ詩集でも、「ワニ（TheCrocodile）」というタイトルで、いつも「がっついて（greedy）」いて人間の子どもを好んで食べる恐ろしいワニについて書いています。この絵本のワニも、　I’m going to fill my hungry empty tummy　With something yummy yummy yummy yummy!　　　　 すききった、からっぽの腹を満たすのは　　　　 とってもとってもうまいもの。と歌いながら、子どもをつかまえに泥だらけの河から出かけていきます。　この歌で‘yummy（うまい）’ という語と韻を踏んでいる tummy は、幼児語で「おなか」のことです。適切な日本語に訳すなら、「ぽんぽん」です。子どもの本では、stomach よりもよく使われます。　途中で、カバが「そんなにうまいものって、なんだい？（What’s????作品解説笹田裕子（清泉女子大学准教授）ダールとブレイクのゴールデンペア誕生　ロアルド・ダールの挿し絵といえば、今では誰もがクェンティン・ブレイク（Quentin Blake）を思い浮かべますが、じつは二人が組んだのはこのThe Enormous Crocodile が最初でした。ブレイクの絵はダール作品のユーモアをうまく伝えてくれるだけではなく、残酷さやどぎつさを和らげてもくれるので有名ですが、この絵本をきっかけに、ブレイクはダールの作品に挿し絵を描くようになったのです。　この絵本は、中の挿し絵だけではなく表紙も見どころの一つです。出版された年のイギリスの新聞Times の書評でも指摘されているように、この絵本を開いたまま伏せると、ブレイクが表紙から裏表紙にかけて描いた、ものすごく大きくて迫力満点の凶暴そうなワニの姿を眺めて楽しむことができます。歯がずらりと並んだ口、長い長い胴体、力強いしっぽをシュッシュッと振り回す音が聞こえてきそうです。　ダールにとっては初めての絵本でした。文字数が限られているため、最も苦労した本だったようです。何語書いたのかいちいち数えた、というエピソードも残されています。わくわくさせるアフリカ　主役のワニをはじめカバやゾウなどがいるジャングル、アフリカが舞台のこの絵本は、ダールが好きなものでいっぱいです。自伝的小説Boy（1984）にも書かれているように、ダールは名門パブリック・スクールを卒業したのに、オックスフォードやケンブリッジといった有名大学へは進学しませんでした。すぐに働きたかったからです。それに、アフリカか中国へ行きたかったからだそうです。まだ飛行機で旅をすることなどなかった1930 年代には、この二つの国は、男の子にとって、1 作品解説まずは、作品について知っておこう！■笹田裕子（清泉女子大学准教授）：第1 章、第3 章、第4 章、第6 章■清水奈緒子（翻訳家）：第2 章■白井澄子（白百合女子大学教授）：第5 章The Enormous CrocodileThe Giraffe and the Pelly and MeFantastic Mr FoxCharlie and the Chocolate FactoryMatildaThe BFG第1章第2章第3章第4章第5章第6章各章は、以下の構成になっています。1 作品解説2 作品を読むためのアドバイス3 登場人物4 原書の名場面を読む5 語彙解説??