ブックタイトル表現英文法【増補改訂第2版】試し読み

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概要

表現英文法【増補改訂第2版】試し読み

492を平面を横切る動きとしてとらえているということです。「世界から弧を描くようにやって来る」という意味合いのfrom all over the world という表現と対比することができます。acrossは「平面を横切って」がコアであるため、障害物が想定される際には使うことができません。そこで移動の際に山が立ちはだかる場合には go across themountains とはいえず、go over the mountains と表現します。overには「障害物を越えて」というコアがあるためです。そこでacross が使われている際には、「平面を横切る移動」が想定されていると考えることができます。以下もオバマ大統領の第1回就任演説からの引用ですが、across がoceans に対して使われています。・For us, they packed up their few worldly possessions and traveledacross oceans in search of a new life. [Barack Obama, Inaugural Address, 2009]私たちのために、彼らはなけなしの世俗的な所有物をかばんに詰め、新しい生活を求めて大洋を渡ってきた。「海」は越える何かのように思われますが、across を使うことで「平面としての海」が意識されているということです。川は歩いて横切ることはできません。そこでHe walked across the river. は(橋が前提にならない限り)不自然ですが、泳いだり、船や飛行機で横断することは可能です。そこで swim across the river だとかsail / fly across the river [the ocean] が可能な表現となるわけです。空でも「流れ星が横断して空に長い尾を引くのを見た」という場合だとI saw meteors streakingacross the sky. のようにacross を使うことが可能です。「星が流れた」も acrossを使って A star shot across the sky. のようにいいます。このように、acrossの場合は「……を横切って」が基本なので、対象が平面であること、そして平面を移動する際に障害がないこと、のふたつがその使用条件となります。これは状態を表すacross の場合も同じです。例えば白線は面ではありません。そこで「その白線の向こうに財布がある」という状況ではacrossは使えず、There is a wallet on the other side of the white line. とon the other side ofを用います。「こちら」と「あちら」を区別する何かがあれば、それが線であれ、面であれ、障害物であれ、自由にon the other side ofを使用することができます。一方、overの場合は、「越えていった向こうに」ということなので、道路の向こうに桜の木がある、という状況では、使用することができません。道路は移動上の障害物とはみなされないからです。そこで、There is a cherry tree across thestreet. といいます。一方、壁の向こうに何かがあるという状況だと、overの出番になるのです。