ブックタイトル表現英文法【増補改訂第2版】試し読み

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概要

表現英文法【増補改訂第2版】試し読み

本書の基本的な考え方17一方、パロールとしての英語は言語活動そのものであり、テクストとして実在するものです。そして、そうした言語活動が可能になるのは、「コンピテンス(能力)としての英語」を個々人が内在化しているからなのです。つまり、コンピテンスとしての英語が、英語のテクスト生成の源なのです。文法でも同じように、文法書はラングとしての英文法を記述する試みであって、それがコンピテンスとしての文法力と対応している保証はありません。しかし、人々がコンピテンスとしての文法力を備えているからこそ、英語を自由に使って無数のテクストを作り出すことができるのです。このように考えると、「英文法がわからないから英語がわからなくなる」と「英文法を学んでも英語が使えるようにはならない」という考えは不自然ということになります。大切なのは、「英文法力(コンピテンスとしての文法)」を養成するのに有用な形で「英文法書(ラングとしての文法)」の再編成を行うことです。必要なのは、英語による「言語活動(パロールとしての英語)」を支える文法力に結びつくような文法書だといえます。本書は上記を念頭に構成した「英文法(書)」であり、表現力を支える英文法という意味において「表現英文法」と名づけたいと思います。ここで提示する英文法も筆者が考えた英文法であって、その妥当性を決める基準が必要となります。本書の執筆にあたり筆者が念頭においたのは「教育的( 学習的) 妥当性」(pedagogical validity)という基準です。ここでいう教育的妥当性とは、teachability(教えることができること)、learnability(学ぶことができること)、usability(使うことができること)の3つの条件を満たす妥当性のことです。従来の文法書はteachabilityの要件は満たしていました。しかし、「文法がわからない」という声はlearnabilityの要件が低いことを意味し、「文法をやっても使えない」という声はusabilityの要件が満たされていないことを意味します。そこで本書は、learnableでusableな文法??わかる、使える英文法??を目指して執筆しました。文法を意識しないで自然に英語を使うことができ、自由に表現を紡ぎ出す力、これが文法力というものです。母語の場合には、文法力は身体感覚のようなもので、意識されることはほとんどありません。自動的に使うことができるのです。しかし、第二言語として英語を学ぶ場合には、自動化はいきなり起こるものではありません。自然に英語を学ぶ環境であれば、英語環境で英語にふれ、英語を使うという体験から文法力が自然に身につくかもしれません。しかし、そうでない英文法の妥当性の3 つの条件使えるためには「使い分ける」ことと「使いこなす」ことが必要