ブックタイトル表現英文法【増補改訂第2版】試し読み

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概要

表現英文法【増補改訂第2版】試し読み

16英語力を身につける上で英文法力は決定的に重要です。どんな言語であれ、ひとつの言語を獲得して話すということは、同時にその文法力を獲得することを意味します。しかし、母語の場合、自然に獲得された文法力は、知らず知らずのうちに体得した言語直観あるいは言語感覚のようなものだといえます。そこで、ある言語を母語にする人に文法の問題について尋ねてもスッキリした答えを得ることはまずありません。それでも、文法力を備えているからこそ、共通の表現ツールとしての言語を自在に使うことができるのです。私たちは、「英文法書」という参考書があって、それを学ぶのが文法の学習だと考えがちです。しかし、これまで学んできた「英文法」については、いろいろな意見があります。なかでも、「英文法がわからないから英語がわからなくなる」という意見と、「英文法を学んでも英語が使えるようにはならない」という意見のふたつは、新たな英文法を考える上で十分に考慮する必要があります。言語学では、英語のとらえ方として、いわゆる「英語というもの」を表す「ラングとしての言語」と実際の「英語の使用」を表す「パロールとしての言語」を分けて考えます。ラングとしての言語観では、英語というものを規則の集合からなる全体(体系)としてとらえます。一方、パロールとしての言語観だと、音や文字の流れとしての英語をとらえ、それによって会話、演説、小説、歴史、論文、詩などのテクストが不断に生成されると考えます。しかし、本書の出発点となっているのは、ラングとしての英語が実際に存在するわけではないということです。つまり、「これが英語というものだ」というふうに英語を対象として指し示すことは原理的にできません。「英語というもの」は、人々が「これこれこうだ」と思っている何かであって、その想定の仕方が正しいという保証はありません。そこで、当然のこととして、言語学者も、生成言語学と認知言語学では立場が異なり、英語のとらえ方も異なります。本書の基本的な考え方文法書と文法力コンピテンス(能力)としての文法力