ブックタイトル多聴多読マガジン Vol.54 2016年02月号 試読2

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多聴多読マガジン Vol.54 2016年02月号 試読2

リスニング、シャドーイングのためのなま素材●英語の特徴ジョージ・ワシントン大学の学位授与式でのスピーチです。演台に準備した台本をなぞりながら話しているため、言い淀みや言い直しや全くなく、なま音声の初心者にもお勧めのスピーチです。ティム・クックはアラバマ州出身ですが、「南部アメリカ英語」の強い特徴は出ていません。Section 1では/t/の音の音声変化、Section 2では連結・脱落・音声変化やスピーチ特有のリズムとイントネーションに注目しましょう。ここに注目!? /t/や/d/が[n]に聞こえる/t/や/d/の音が/n/と母音の間にあるとき、[n]に聞こえがちになります。and heでは/h/の音が脱落して2語がつながっているので「アンニー」のように聞こえます。? /t/で息をのむように聞こえる喉の奥の方の声門という場所で発音するので「ディンン」「ファガンン」のように、息をのむような感じに聞こえます。? /t/が[d]や[ラ行]に聞こえる/t/の後に強勢が置かれない母音があるとき、[d]に聞こえたり、「ラ行」の音に聞こえることがあります。great againはgrade againに、betterは「ベラー」のように聞こえますね。語注upend:ひっくり返すassumption:思い込みin ruins:荒廃して、ひどい状態でrescue:救うlead:導くadrift:漂流して、さまよってrudderless:舵のない、指導者のいないearn:(名声・学位などを)取るpragmatic:実務的なanimated:元気溌剌とした、生き生きとした【訳】日本語訳:山口西夏ティム・クック:ワシントンDCを訪れてから20年後、私はある人に出会い、その人のせいで私はすべてを問い直すことになったのです。その人のおかげで、私のそれまでの思い込みはすべて、まさに最高の形で覆されてしまったのです。それがスティーブ・ジョブズでした。〈会場・拍手喝采〉スティーブはすでに会社を立ち上げて成功に導いたものの、その会社から追放され、再び戻ってきてみると、会社はひどい経営状態になっていたのです。当時、本人は知りようもなかったのですが、彼は残りの人生のすべてをこの会社を救うために捧げ、誰にも想像がつかなかったほど大きな成功へと導こうとしていました。誰にも、つまりスティーブ以外の誰にも、です。もうほとんどの人は覚えていないでしょうが、1997年から1998年の初めの時点では、アップル社は何年もただ流されている状態でした。舵をとる者がいなかったのです。しかし、スティーブは、アップル社は再び一流企業に復活できると思っていました。それで、そのために協力するつもりが私にあるかどうかを彼は知りたかったのです。彼が思い描くアップル社の理想の姿は、優れたテクノロジーを使いやすいツールに、人々が夢を実現するのに役立ち、世界をより良い方向へと変えることのできるツールに変える会社でした。私はエンジニアになるための勉強をし、MBA(経営学修士号)を取得していました。実務的な問題解決屋としての訓練を受けていたのです。それなのに、気がつけば、世の中を変えるという理想に燃える、この元気溌剌とした40代の男の前に座り、彼の言葉に耳を傾けていたのです。それは私にとって予想外のことでした。というのは、私もまた自分のキャリアという点では、1998年当時はただ流されていたのです。舵を失っていたのです。2016 FEBRUARY 125